「旅人算って、どうやって解けばいいの?」「子どもに聞かれたけれど、うまく説明できない……」
小学生の算数で、保護者の方が教え方に悩みやすい単元のひとつが「旅人算」です。速さや時間、距離を求める基本的な問題に加えて、2人が向かい合って進む問題や、後ろの人が前の人に追いつく問題など、さまざまなパターンがあります。
旅人算は、公式を暗記するだけでは解き方がわからなくなりやすい問題です。大切なのは、人がどの方向に進んでいるのか、2人の距離がどのように変化するのかを理解することです。
この記事では、旅人算の意味や基本公式、代表的な問題の解き方を、小学生にもわかりやすいように図を交えながら解説します。例題や家庭での教え方も紹介するので、子どもの算数学習にぜひ役立ててください。
旅人算とは?

旅人算とは、人や乗り物などが移動する様子をもとに、速さ・時間・距離などを求める文章題のことです。
たとえば、次のような問題が旅人算にあたります。
- 2人が向かい合って歩くとき、何分後に出会うのか
- 後ろから速く走る人が、前を歩く人に何分後に追いつくのか
- 2人が同じ方向に進むとき、2人の間の距離がどのように変化するのか
どの問題にも共通しているのは、「移動する人の速さ」と「時間」、そして「移動した距離」の関係を考えることです。
旅人算という名前から難しそうに感じるかもしれませんが、基本となる考え方はシンプルです。まずは、速さ・時間・距離の関係を確認しておきましょう。
旅人算で使う基本公式
旅人算を解くときに欠かせないのが、次の3つの公式です。
- 道のり=速さ×時間
- 速さ=道のり÷時間
- 時間=道のり÷速さ
たとえば、分速60mで歩く人が5分間進んだ場合、進んだ距離は次のように求められます。
60×5=300(m)
つまり、300m進んだことになります。
ここで気をつけたいのが、速さの単位です。「分速60m」は1分間に60m進むという意味です。一方、「時速4km」は1時間に4km進むという意味になります。
計算を始める前に、速さと時間の単位がそろっているかを確認しましょう。分速で計算するなら時間は分、時速で計算するなら時間は時間にそろえるのが基本です。

旅人算では、この基本公式を使いながら、問題の状況に応じて「速さを足すのか」「速さを引くのか」を判断します。ここからは、代表的な3つのパターンを見ていきましょう。
旅人算の基本パターン1:出会い算
出会い算とは、2人が向かい合って進み、途中で出会うまでの時間や距離を求める問題です。
たとえば、AさんとBさんが1,000m離れた場所から、向かい合って歩き始めたとします。Aさんは分速60m、Bさんは分速40mで進みます。
このとき、2人は何分後に出会うでしょうか。
出会い算では、2人の速さを足す
出会い算で大切なのは、2人が近づいていることです。
Aさんが1分間に60m進み、Bさんが1分間に40m進むので、2人の間の距離は1分間に合計100m縮まります。
60+40=100(m)
このように、向かい合って進む2人の間の距離が縮まる速さを「2人の速さの和」と考えます。

図を見ると、2人がそれぞれ進むことで、間の距離が少しずつ短くなっていくことがわかります。
では、1,000mの距離が1分間に100mずつ縮まると考えると、出会うまでに何分かかるでしょうか。
1,000÷100=10(分)
答えは10分後です。
この問題は、次の式でまとめられます。
(2人の間の距離)÷(2人の速さの和)=出会うまでの時間
出会い算では、2人が向かい合って進むため、速さを足すと覚えておきましょう。
出会い算の例題
AさんとBさんは、1,200m離れた場所から向かい合って歩き始めました。Aさんは分速70m、Bさんは分速50mです。2人は何分後に出会うでしょうか。
まず、2人が1分間に進む距離を合計します。
70+50=120(m)
次に、2人の間の距離を、1分間に縮まる距離で割ります。
1,200÷120=10(分)
答え:10分後
出会い算では、最初に2人の速さを足し、そのあとで2人の間の距離を割るという順番を意識すると、式を立てやすくなります。
旅人算の基本パターン2:追いつき算
追いつき算とは、同じ方向に進んでいる2人について、後ろの人が前の人に追いつくまでの時間や距離を求める問題です。
たとえば、Aさんが先に出発し、その200m後ろからBさんが追いかけるとします。Aさんは分速50m、Bさんは分速70mで進みます。
この場合、BさんはAさんに何分後に追いつくでしょうか。
追いつき算では、2人の速さを引く
追いつき算では、出会い算とは違い、2人が同じ方向に進んでいます。
Bさんは分速70m、Aさんは分速50mなので、Bさんは1分間にAさんより20m多く進みます。
70-50=20(m)
つまり、2人の間の距離は1分間に20mずつ縮まるということです。
最初の距離は200mです。これを1分間に縮まる20mで割ると、追いつくまでの時間が求められます。
200÷20=10(分)
答え:10分後

図では、BさんがAさんを追いかけている様子を確認できます。2人とも前に進んでいますが、Bさんのほうが速いため、少しずつ距離が縮まっていきます。
追いつき算では、次の考え方が基本です。
(最初の2人の間の距離)÷(速い人の速さ-遅い人の速さ)=追いつくまでの時間
同じ方向に進む問題では、速さの差を求めることがポイントです。
追いつき算の例題
Aさんは分速60mで歩いています。BさんはAさんの300m後ろから、分速90mで追いかけます。Bさんは何分後にAさんに追いつくでしょうか。
まず、2人の速さの差を求めます。
90-60=30(m)
Bさんは1分間に30mずつAさんとの距離を縮めます。
次に、最初の距離300mを、1分間に縮まる30mで割ります。
300÷30=10(分)
答え:10分後
出会い算と追いつき算は、どちらも「2人の間の距離が縮まる時間」を求める問題です。ただし、出会い算では2人の速さを足し、追いつき算では速さを引くという違いがあります。
旅人算の基本パターン3:同じ方向に進むときの距離の変化
旅人算には、出会う時間や追いつく時間を求める問題だけでなく、同じ方向に進む2人の間の距離がどう変化するかを考える問題もあります。
たとえば、Aさんが分速50m、Bさんが分速70mで、同じ方向に進んでいるとしましょう。
このとき、Bさんのほうが速いため、2人の間の距離は少しずつ縮まります。1分間に縮まる距離は次のとおりです。
70-50=20(m)
つまり、1分後には距離が20m縮まり、2分後には40m、3分後には60m縮まります。
反対に、前を進むAさんのほうが速い場合は、2人の間の距離は広がっていきます。
たとえば、Aさんが分速70m、Bさんが分速50mで同じ方向に進む場合、1分間に距離が20mずつ広がります。
70-50=20(m)

このタイプの問題では、速さの差を求めることが基本です。その差によって、2人の距離が縮まるのか、広がるのかを判断します。
問題文を読んだら、まず次の2点を確認しましょう。
- 後ろの人のほうが速いのか、前の人のほうが速いのか
- 2人の間の距離は縮まるのか、広がるのか
この2点を整理するだけでも、式の立て方がわかりやすくなります。
旅人算を解くときのポイント
旅人算は、公式を覚えていても、問題文の状況を正しく読み取れないと間違えてしまうことがあります。ここでは、問題を解くときに意識したいポイントを紹介します。
1. まずは図を描いて状況を整理する
旅人算が苦手な子どもには、最初から計算させるのではなく、問題の状況を図に描いてもらうのがおすすめです。
2人がどこにいて、どの方向に進み、最初の距離がどれくらいあるのかを整理してみましょう。
人の位置を丸やイラストで示し、進む方向を矢印で描くだけでも十分です。図を描くことで、向かい合っているのか、同じ方向に進んでいるのかがわかりやすくなります。
2. 速さの単位をそろえる
速さの単位にも注意が必要です。
たとえば、時速4kmで進む人が30分間移動した距離を求める場合、30分を0.5時間に直して計算します。
4×0.5=2(km)
答えは2kmです。
一方、分速で考える問題では、時間を分にそろえて計算します。速さと時間の単位がそろっていないと、計算結果が正しくならないので注意しましょう。
3. 「足す」のか「引く」のかを考える
旅人算で特に間違えやすいのが、速さを足すか引くかという部分です。
- 向かい合って進む場合:2人の速さを足す
- 同じ方向に進む場合:2人の速さの差を求める
ただし、公式だけを暗記するのではなく、「なぜ足すのか」「なぜ引くのか」を理解することが大切です。
向かい合う2人は、両方が進むことで距離が縮まります。同じ方向に進む2人は、速さの差によって距離が縮まったり広がったりします。
図を描いて距離の変化を考えると、公式の意味を理解しやすくなります。
4. 基本問題から少しずつ練習する
最初から複雑な旅人算に取り組むと、子どもが苦手意識を持ってしまうことがあります。
まずは、速さ・時間・距離の基本公式を使う問題から始めましょう。そのあとで、出会い算、追いつき算、距離の変化を求める問題へと進めると、段階的に理解を深められます。
同じタイプの問題を何問か解いて、考え方が身についてから次のパターンに進むのがおすすめです。
旅人算を子どもに教えるときのコツ
家庭で子どもに算数を教えるときは、正しい答えを出すことだけでなく、考え方を理解できているかにも注目しましょう。
身近な例で説明する
旅人算の問題を、日常生活の場面に置き換えて説明するのも効果的です。
たとえば、「家から駅に向かって歩く人」と「駅から家に向かって歩く人」が出会う場面を想像してみましょう。2人が近づくほど、間の距離は短くなっていきます。
追いつき算なら、走る人が歩く人を追いかける場面をイメージするとよいでしょう。
身近な場面で考えると、抽象的な文章題も理解しやすくなります。
間違えた問題は、図に戻って考える
答えが間違っていたときは、すぐに正しい式を教えるのではなく、どこで考え違いをしたのかを一緒に確認してみましょう。
速さを足すところで引いてしまったのか、最初の距離を読み違えたのか、時間の単位をそろえていなかったのか。間違いの原因を確認すると、次に同じタイプの問題を解くときに役立ちます。
必要に応じて図を描き直し、2人の距離がどのように変化するかを確認してみてください。
できたことを具体的にほめる
旅人算は、問題文を読み取り、状況を整理し、式を立てるという複数の段階があります。
たとえ計算を間違えたとしても、「図で状況を整理できたね」「速さの差に気づけたね」と、できた部分を具体的に伝えてあげましょう。
少しずつ成功体験を積み重ねることで、子どもが算数に取り組む意欲を保ちやすくなります。
旅人算の練習問題に挑戦しよう
ここまで学んだ内容を使って、旅人算の問題に挑戦してみましょう。
問題1:出会い算
AさんとBさんは、900m離れた場所から向かい合って歩き始めました。Aさんは分速40m、Bさんは分速50mです。2人は何分後に出会うでしょうか。
考え方
まず、2人の速さを足します。
40+50=90(m)
次に、2人の間の距離を、1分間に縮まる距離で割ります。
900÷90=10(分)
答え:10分後
問題2:追いつき算
Aさんは分速60mで歩いています。BさんはAさんの240m後ろから、分速80mで追いかけます。Bさんは何分後に追いつくでしょうか。
考え方
2人の速さの差を求めます。
80-60=20(m)
最初の距離240mを、1分間に縮まる距離20mで割ります。
240÷20=12(分)
答え:12分後
問題3:距離の変化
Aさんは分速70m、Bさんは分速50mで、同じ方向に進んでいます。2人の間の距離は、1分間に何m変化するでしょうか。
考え方
2人の速さの差を求めます。
70-50=20(m)
Aさんのほうが速いため、2人の間の距離は1分間に20m広がります。
答え:20m広がる
練習問題を解いたあとは、答えだけでなく、どうしてその式になったのかを説明してもらうと、理解度を確認しやすくなります。
旅人算の学習には、繰り返し問題を解くことも大切
旅人算を理解するには、公式を覚えることに加えて、さまざまな問題を解き、状況に応じて考え方を使い分ける練習が必要です。
最初は図を描きながら解き、慣れてきたら図がなくても状況を整理できるように練習していきましょう。
家庭学習では、子どもの理解度に合わせて問題の難易度を調整することも大切です。簡単な問題から始め、正しく解けるようになったら少しずつ応用問題に挑戦すると、無理なくステップアップできます。
とはいえ、毎回子どもに合った問題を探したり、答え合わせをしたり、間違えた問題を解説したりするのは、保護者にとって負担になることもあるでしょう。
そんなときは、家庭学習をサポートする仕組みを活用するのもひとつの方法です。
ほかの算数の文章題にも挑戦しよう
速さや時間、距離の関係を考える旅人算に慣れてきたら、ほかの特殊算にも挑戦してみましょう。
動物の数と足の本数から答えを求めるつるかめ算も、小学生が学ぶ代表的な文章題のひとつです。基本の考え方や公式を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
まとめ:旅人算は、図で状況を整理すると理解しやすい
旅人算は、人や乗り物が移動する様子から、速さ・時間・距離などを求める文章題です。
基本となる考え方を、最後におさらいしておきましょう。
- 基本公式:道のり=速さ×時間
- 出会い算:向かい合って進むため、2人の速さを足す
- 追いつき算:同じ方向に進むため、2人の速さの差を求める
- 距離の変化:速さの差から、距離が縮まるか広がるかを考える
旅人算が苦手な場合は、公式を暗記するだけでなく、図を描いて状況を整理することから始めてみてください。人の位置や進む方向、距離の変化が見えるようになると、式を立てる理由も理解しやすくなります。
家庭学習では、基本問題から応用問題へと少しずつ練習し、間違えた問題も繰り返し解いていくことが大切です。
自宅での算数の問題演習に「親子でのびるん」を活用しよう
旅人算をはじめ、算数の文章題を理解するには、学んだ内容を実際の問題で繰り返し使ってみることが大切です。
「親子でのびるん」は、家庭での子どもの学習をサポートする問題集システムです。自宅での学習習慣づくりや、日々の問題演習に役立ててみてはいかがでしょうか。
子どもの理解度に合わせて問題に取り組み、わからないところを一つずつ解決していくことが、算数の力を伸ばす第一歩です。
自宅での算数学習を始めたい方は、ぜひ「親子でのびるん」をご覧ください。
※本記事に掲載しているイラストは、AIを活用して作成しています。